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今日のは読んで欲しいな

by 渋谷雄大

「褒める」も「成果報酬」も外発的モチベーション

アンダーマイニング効果という心理学用語があります。

これは「自分がやりたい!!」「好き!!」と自らすすんで取り組んでいる(内発的動機と言います)ことに対して、「うまく行ったからご褒美上げるね」と外的な報酬をあげる事でやる気はかえって下がってしまう現象のことです。

Wikipediaにも書いてありますが、普段から頑張っている人に対して、「頑張れ」という外的動機を与えると逆にやる気を削いでしまうことがあるそうです。
逆に、やる気がない人に対して「外的報酬」を与えることで短期的にモチベーションをあげることはできるようです。

褒めるという行為は実は危険

もともとは自分の意志(自分がやりたいと思って)で行動していたことが、上司や先輩、先生などから褒められる経験を積み重ねることで「褒められるために行動する」ようになってしまいます。
自分がやりたい→誰かに褒められたい、という風に目的が置き換わってしまうんです。

「内発的動機=自分の意思でやりたい」
「外発的動機=何かしらの外部からの報酬が欲しい」

そして注意点が、内発的動機はじつはとてもデリケートな動機であり、ちょっとしたきっかけで外発的動機づけに負けてしまいます。
毎日地道に仕事をしている人がいます。
一方、同僚は要領良く仕事をこなしてなぜか報酬も良い。
もともとは自分自身が好きで始めた仕事だけど、同僚を見ていると自分が馬鹿らしくなってくる。「少しくらい良いじゃないか。」と考えはじめて楽しようとし始める。
仕事を楽しても、報酬が上がる。
でも仕事へ打ち込む楽しさは失われてしまう。
いつの間にか、要領の良い同僚と同じ道に入ってしまう。
確かに、要領良く仕事はできるようになったけれど、もともと自分自身がやりたかったこととはかけ離れていってしまう。でもそこに戻ることはできなくなる。

アンダーマイニング効果とは若干ずれてきましたが、内発的動機は外発的動機に負けやすい、と言うのは分かる気がします。ちょっとした誘惑に負けるのが人間です。

上司は部下を褒めれば良いってものではない

「褒める」は外発的動機です。
上司や経営者は褒めることで相手のやる気を削いでいる可能性があるということに気がつく必要があります。もともとやる気を持って仕事をしている人間に褒めるは不要。それよりも必要なことは、そのもともと持っているやる気(内発的動機)を外発的動機に削がれないような環境を整備することが上司や経営者の役割だということを認識しましょう。

講師そのものが超強力な外発的動機

講師業も同じです。
受講者を褒めすぎることでいつの間にか目的が変わってしまうことがあります。
あの先生に「褒めてほしいから頑張る!」、「認めてほしいから頑張る!」という外発的動機に変わってしまうことがあります。
もともとは自分の意思で講座に参加したはずが、いつの間にか講師に依存(褒められたい欲求)してしまうんですね。

当たり前ですが、講演や研修、コンサルティングは、講師やコンサルタントのためにあるのではなく受講された方が何かしらの成果を手にするために行うものです。それが褒められることを目的に変えてしまう講師と言うのはとても罪の重いことだと思います。

ここ数年で感じていることです。
数年前まで、受講者を褒める、受講者と仲良くなる、ということを積極的に行っていた時期がありました。しかし、ある時期から方向性を変えたんです。
その時期からお付き合いのある方は「冷たくなった」「最近つれないな〜」と思われているかもしれませんが、決してそういうわけではなく講師としてどう接することが一番メリットがあるのか?という観点で考えた結果なのです。

僕自身が超強力な外発的動機。
だとしたら、内発的動機で動いている人たちに対して、外発的動機による報酬は逆効果ってことなんです。

プロ講師としてやってはいけないこと。それは、せっかく内発的動機で参加した人たちに、外発的動機の誘惑をしてはいけないということです。
もともとの受講者の目的を変えてはいけないんです。

そんな想いを持ちながら、講師業をやっているんです。

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渋谷雄大
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